アイリーン 第一章 -リッカルード-
First Finale
「カインさんと連絡が着きました。やはり、ロンメル氏が知り合いだったようです」
やはりか…
イーグルはため息を吐いた。
昔から、どこか冷めている彼にとって、いつも暑苦しいほど熱血な従兄弟は、側にいるだけで疲れる相手だった。
しかも、探している相手にも、彼にとっては別に何の情も沸かない相手だ。
彼女のためなら仕方ない、か…
ハマりすぎている自分に気付き、イーグルは呆れて一人、首を振った。
だからと言って、何かが抜け落ちてくれるわけでもなかったが。
「どうかしましたか?」
浮かない彼に気を遣ってか、執事が声を掛けた。
「ああ。…いや、何でもない」
執事はそうですか、とさほど気に留めていなかったように言った。
実際に気にも留めていないのだろう。
彼はそういう男だ。
「それでは話を進めておきます」
「ああ…」
イーグルは何だか浮かない表情のまま、返事をした。
後にもっと頭を抱えることになるのだが…。
しばらく、ほんのしばらくの間は、少しの休息が得られそうだった。
《 -第1部- fin 》
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